こんにちは!エンタメ領域のDXを推進するブロックチェーンスタートアップ、Gaudiy共同創業者の後藤(@PTeamd)です。
Gaudiyは2018年5月に創業し、今年は5期目を迎える年になります。
創業当初からブロックチェーン技術を活用したプロダクト検証を行い、2020年からはSony Music社、集英社、アニプレックス社などの国内大手IPホルダーと協業。エンタメ業界の構造的な課題を解決するプロダクトを通じて、新しいファン体験を提供してきたGaudiyですが、2022年はさらに「PLG(Product-Led Growth)」(※)へと舵取りをしていきます。
今回のブログでは、その背景とGaudiyが今年注力することについてお伝えします!ぜひご一読ください。
※PLG…「プロダクトがプロダクトを売る状態(Product sells itself)」をめざす戦略
1. 創業時からめざすのは「ファン国家」の実現
2018年の創業時より、ファンの応援や創作といった熱量が適正に認められ、ファンに還元されるエコシステム「ファン国家」の実現をめざしてきました。
Gaudiyでは単にブロックチェーン技術をPoCで試すというやり方ではなく、トークンを使ったコミュニティプロダクトをファンに向けて提供することで、New Standardかつベストな体験を社会に普及する取り組みを進めてきました。
創業初期はブロックチェーンの顕在的なニーズが世の中にあまりなく、先行事例も少なかったため、PMFをめざす上で重要だったのは「いかに関係者に価値を理解してもらえるか」でした。
そこでまずは、クライアント企業に深く入り込み、個別の状況に対して理解と共感を深め、エンタメ企業に共通するペインを見つけながら、それを解決するプロダクトをつくる。そのプロセスが必要であり、意図的に「案件ベース」でのプロダクト開発を進めてきました。
具体的には、Sony Music社のデジタル声優アイドルグループ「22/7(ナナブンノニジュウニ)」や、週刊少年ジャンプの人気漫画「約束のネバーランド」など、大手IPホルダー(知的財産コンテンツを有する企業)との協業案件です。
その中で、ファンコミュニティサービスの開発・提供を行いながら、中長期的なファン国家のエコシステム構築をめざして、様々な”仕込み”を行ってきました。
例えば、そのひとつが「分散型ID(DID)」の開発です。ブロックチェーン技術を活用した独自のIDシステムを構築し、実際のコミュニティプロダクトにも組み込んでいます。
また、Gaudiyの経済設計顧問である慶大・坂井教授や、同じくコミュニティサイエンス顧問である早大・石川教授とともに、トークンエコノミーの経済設計などにも取り組んできました。
このように、エンタメ企業の課題を解決するソリューションをブロックチェーンベースで組みながら、新しい経済圏づくりに必要な研究と実装を行いつつ、SLG(Sales-Led Growth)での着実な成長を遂げてきました。
2. 昨年起きた市場の変化と「PLG」への転換
そして昨年、市場に大きな変化が起きました。
NFTを中心にWeb3.0が大きな注目を集め、世間からの認知度・関心度が一気に高まりました。ありがたいことに、Gaudiyも大手IPホルダーから数多くのお問い合わせをいただいています。
創業時からこのタイミングが来ることを信じ、案件ベースで様々な仕込みを行ってきたGaudiyにとって、2022年は勝負の年。今後大きく飛躍できるかどうかの転換点になります。
そのために注力していきたいのが「PLG(Product-Led Growth)」です。
SaaSプロダクトでよく聞く言葉ですが、良いプロダクトが次の顧客を呼び込むような、プロダクト主導型の事業成長モデルのことです。(PLGについて詳しく知りたい方はこちらの本がおすすめです。)
2022年は「ファンと共に、時代を進める。」というミッションに向けて、より多くのファンに「Web3.0の体験」を提供し、最高の体験を実現をめざします。
具体的にいうと、Gaudiyでは単にNFTを販売するのではなく、Non-Fungibleな体験を提供していきます。トークンエコノミーで最も重要とされる「コミュニティ」を形成し、そのコミュニティと従来は散らばっていた関連サービスをDIDで統合することで、ファンの活動に対して還元するエコシステムをつくります。
また、エンタメ企業の課題を解決する、IP独自のファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」というプロダクトに全集中します。国内はもちろん、海内のIPコンテンツとそのファンに対しても最適な体験を一貫して提供することをめざします。
3. これからの「プロダクト主導型組織」について
PLG型で世界中のファン体験を前進させるために、組織全体としても、プロダクトに対してフルベットします。「Product-Led Organization(PLO)」という言葉もありますが、Gaudiyはプロダクト主導型の組織づくりに注力します。
プロダクト主導の成長・組織構築をしていくためには、ソフトウェアの開発だけでなく、ビジネス、コーポレートなどを含むすべての活動を、プロダクトビジョンへのコミットに紐付けて目標設定と戦略実行のできる体制が重要です。
その大方針として、以下3つに取り組んでいきます。
3-1. 全社でプロダクトをつくる
あらゆる活動を上位のプロダクトに紐付けて設計します。エンジニアリング、デザイン、ビジネス、採用、組織開発、広報、バックオフィスなど、あらゆる活動を個別最適化させずにプロダクト中心に組み立てることで、より良いプロダクトづくりをめざします。
例えば、これまでプロジェクトベースで動くことが多かったBizDevの活動も、いかにプロダクトの成功に紐付くアウトプットにつなげられるかを軸に進めていけるようにする。またtoC向けサービスであることから、プロダクトを触ったり、関連したプロモーションを見て興味を持っていただくことも多いため、採用・広報として伝えていきたいストーリーをプロダクト側でも汲み取り反映していく。
さらには、全社的に「プロダクトの成長」を目標にすると同時に、プロダクトサイドでは全ステークホルダーがプロダクトづくりを「自分ごと化」できるように、要望に共感し成果につながるよう支援することで、全員が一丸となってPLGにコミットできる体制をめざします。
3-2. 人間中心設計(HCD)を強化する
人間中心設計(Human Centered Design)とは、簡単に言うと「人のことを理解し、ユーザーにとって使いやすいシステムを設計する」ということです。 案件ごとに、個別のユーザーやクライアントに向けてプロダクトをつくることは、その要望も目標も個別の最適化が追求できたため、ある意味で対象への共感がしやすい側面もありました。
しかしながら、国内外のより多くのコンテンツとファンにプロダクトを提供していくと、汎用性をめざす必要性が出てきますし、関係者と直に接点を持てる度合いも制限されます。それにより、これまでよりも「共感」をベースとしたFandomな体験の実現が難しくなります。
そこで、より体系的な形でファンにとって最高の体験を作るために、共感をベースとしたプロダクト開発手法である人間中心設計を強化していきます。
3-3. プロダクトを作るように組織を作る
上記のようなプロダクト開発手法を、ソフトウェア開発だけでなく、組織も広義の”プロダクト”として、それぞれの手法を一般化して各所に取り入れていきます。
例えばチームトポロジーに代表されるように、カプセル化・抽象化・インターフェースの設計など、エンジニアリングの観点を組織開発にも取り入れて、組織フェーズごとに最適なアーキテクチャーをつくり続けます。
またUXデザインにおける調査・モデリングの手法を、エンジニアリングではDDDなどのバックエンドの設計手法に、採用ではEXの可視化・改善のために利用します。
さらにピープルマネジメントにおいて重要なコーチングの概念は、プロダクトマネジメントや自律分散的な組織マネジメント、カスタマーサポートなどコミュニティの運営にも共通のコミュニケーションスタイルを利用していきます。
4. おわりに
今回のブログでは、2022年の抱負として、PLG型の事業成長と組織づくりの方針をお伝えさせていただきました。
Gaudiyでは、ファンにとっての最高の体験を実現し、時代を進める取り組みをもっと加速させていくため、プロダクト中心組織を一緒に創りあげていきたいと思う方を全方位で募集しています。
職種や職務で分断された形ではなく、ビジネス・テクノロジー・ユーザーの3領域を横断してプロダクトを磨き続けることは、ある意味では個々の専門性に閉じて役割分担をするよりも大きな負担がかかり、難しいことです。
ですが、まだ世の中にない世界観である「ファン国家」の実現に向けて、新しい概念や技術を取り込みながらプロダクト開発を進めるGaudiyにとっては、この形が必要不可欠だと考えています。
困難なチャレンジになるとは思いますが、プロダクト中心組織をつくり、2022年もビッグなIPと時代の先端をいく取り組みを進めていきます。
国内はもちろん、言語の壁を超えてグローバルで通用する突き抜けたプロダクトを生み出すことに興味のある方は、ぜひお気軽にご応募ください!ワクワクする未来を、共創していきましょう。
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