Gaudiy Tech Blog

Gaudiyの技術、開発組織、カルチャーについてお伝えするブログです

非エンジニアがテックブログを編集する技術

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こんにちは!エンタメ領域のDXを推進するブロックチェーンスタートアップ、Gaudiyでコーポレートサクセス(人事広報)を担当している山本(@hanahanayaman)です。

Gaudiy Tech Blogは、2021年7月に開設し、これまでに累計27本の記事を公開してきました。このブログが、28本目になります。

Gaudiyでは広報担当(わたし)が執筆者に伴走する形でテックブログを運営していますが、他社人事の方のお話をお伺いする限り、わりと珍しい運営体制なのでは? と感じるようになりました。

そこで今回は、非エンジニアでもテックブログの編集できるよ!!ということをお伝えしたく、普段意識していることを書いてみます。

テックブログを始めたいけどどう関わればよいかわからない採用・広報担当の方や、テックブログの質を高めたいエンジニアの方などに、ご参考になれば嬉しいです。

1. 約8ヶ月で27本。テックブログの運営で感じたこと

テックブログやるべき?効果あるの?論をたまにTwitterで見かけますが、Gaudiyで運営していて思うのは、「継続すれば、確実に効果はある」ということです。

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テックブログのPV推移

上図は、テックブログを開始した2021年7月から現在に至るまでのPVの変化です。最初3ヶ月の総PV数が 10,421 だったのに対し、直近3ヶ月の総PV数は 48,351 と、5倍近い数値になっています。

更新ペースは週1本を目安にコツコツと続けていますが、Gaudiyの場合は、大きなバズ記事がたまにポンと出る感じではなく、1本1本の記事がコンスタントに読まれるようになってきた感覚があります。

そして、立ち上げのきっかけである「エンジニア採用」への効果も着実に出ています。「テックブログなどの発信が盛んで、おもしろそうな会社だと思いました」という動機で副業を始めてくださった方がいたり、スカウト返信率も確実に向上しています。

また、日々の学びを体系化し、アウトプットする習慣がついたり、社内のナレッジ共有にもなったりするので、テックブログは良いことづくめです。

2. 技術を知らなくても編集できるのか?

とはいえ、テックブログは "継続" と "クオリティの担保" が最大の難所だと思っています。

わたしは前職で「SELECK」というWebメディアの編集者をしていたので、社内編集者としての立場から、テックブログの運営をサポートしてきました。(継続の工夫については、ALL STAR SAAS FUNDさんに取材いただいた以下の記事が詳しいです。)

blog.allstarsaas.com

ですが、「編集」に対する知見はあっても、技術的なことはわかりません。エンジニア採用も初めての経験です。

技術を知らないのに、編集できるの? と思われる方もいると思います(わたしも不安でした)が、実際に8ヶ月継続してきた中で断言できるのは、技術的なことに詳しくなくても、編集はできます。

その上で、わたしが伝えたい大事な観点が3つあります。

  1. 想定読者の目線を得るための前提知識をインプットすること
  2. 「わかりやすく・読みやすい」ための編集をすること
  3. 「コンテンツの価値は書き手にある」という意識を持つこと

では、具体的にどうやっているのかをご紹介していきます。

3. 想定読者の目線を得るため、前提知識をインプットする

まず大前提として、読んでほしい人にきちんと届けるためには、徹底した「読者目線」が必要です。なぜなら、届けたい相手によって、伝えるべき情報の内容や量が異なるからです。

(ほかの観点は、以前こちらのnoteでまとめたのでよければご参考ください。)

note.com

そこで記事を書き始める前に、必ずテーマと「誰に届けたいのか?」をエンジニアと擦り合わせています。そして、この時に設定した「想定読者」の目線をもって編集するということがとても重要です。

そのために実践しているのは、想定読者が普段触れているであろう情報をインプットすること。具体的には、以下のようなことを編集に入る前の事前準備として行っています。

  • この記事テーマを書く上でエンジニアが参考にした記事やスライドなどを読む
  • 想定読者をバイネームで挙げてもらって、その人のTwitterを見にいく(どんな記事をシェアしてるのか、どんなことに関心があるのかを知る)
  • 記事テーマのキーワードをTwitterやGoogleで検索して関連記事を読む

こういうアクションを取れば、細かい技術的な話はわからなくても、どんな文脈でそのテーマが語られることが多いのか? を理解することができます。

その上で、類似テーマの他社記事との違いを明確にできるように、差別化できそうなポイントをエンジニアにも確認します。

4. 「わかりやすく、読みやすく」するための編集術

一通りのインプットを終えたら、編集に入ります。実を言うと、前提知識のインプットさえできてしまえば、あとは通常のブログ編集と同じです。

わたしが心掛けているのは「わかりやすく、読みやすい」です。大きく分けると「構造」「文章」「見ため」を編集しています。

4-1. 構造の編集

ひとつめは「構造」の編集。以下のような点を意識しています。

  • 小見出しだけでスッと理解できる流れにする
  • メインテーマの論旨から逸れる内容はカットする
  • 段落の前後関係を意識する
  • 段落ごとの情報量を調整する

よくありがちなのは、技術の話からいきなり始まって背景が抜けてしまったり、伝えたいことを盛り込みすぎて逆にメインの論旨がぼやけてしまったりすることです。

たとえば、先日の「GraphQLにおけるエラーハンドリングの実践」という記事では、以下が元の構成でした。

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元の構成もシンプルでいい感じです。これを、以下のような構成に編集しました。(「はじめに」の段落の内容は、本文に入る前の導入部に入れました。)

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改めてみると同じワード使いすぎて見にくい説ありますw

小見出しの付け方はあまり良い例ではないのですが(汗)、編集者目線としては、「具体的な技術の話をする前に、まずはエラーハンドリングやGraphQLの特性など前提情報を揃えること」「Gaudiyでの課題を明示した上で技術の話に展開すること」といった構成を意識しました。

4-2. 文章の編集

ふたつめは「文章」の編集。なるべく "シンプルであること" を念頭におき、以下のような点を意識しています。

  • 長い一文は分割する
  • 不要な修飾語をどんどん取り除く
  • 想定読者にとってわかりやすい言葉に変換する
  • 丁寧すぎる言い回しをシンプルな表現にする
  • 同じ用語の繰り返しは代名詞に置き換える

文章の書き方については、すでに巷にたくさんノウハウがあるので詳細は割愛します。個人的なおすすめは、ベイジさんの以下ブログです。例文つきでめちゃくちゃわかりやすいです。

baigie.me

4-3. 見ための編集

最後の仕上げとして、"読みやすく" するために大事なのが「見ため」の編集。ここでは「情報の強弱・リズム・視認性」の観点で、以下のような点を意識しています。

  • 句読点を入れる(リズム)
  • 伝えたい / 強調したい箇所は「」や太字にする(強弱)
  • 4行以上続いたら改行する(視認性)
  • 適度にひらがなを使う(視認性)
  • 箇条書きや引用などの記法を適切に入れる(視認性)
  • テキストだけでなく図や参考記事などを入れる(視認性)

たとえば、以下のような文章があります。

品質を上げること?開発速度を上げること?

ここについては、幾度も議論されているし、全く同意している。

では、それ以外にないだろうか?

チーム間、役職間のコミュニケーションにおいてもテストは有効だと考える。

元の文章も、問いかけから引き込まれるようなGOODな文になっていますが、以下のように編集しました。(引用元:テスト文化はなぜ作れないのか?

「品質を上げるか、開発速度を上げるか」

ここについては、以下のスライドにもあるように幾度も議論されているし、「質とスピードはトレードオフでない」という点には完全に同意しています。

(中略)

ですが、テストの意義として、実はもうひとつの視点があると考えています。それは「チーム間、職種間のコミュニケーションツール」としてのテストです。

太字や「」を使って特に強調したい文章を目立たせたり、あえて「実はもうひとつの視点があると考えています。」と一呼吸置いてから「それは〜〜です。」と伝えることで、主張を際立たせたりしています。

ほんの一例ですが、読みやすく・わかりやすい記事にするための編集を加えています。

5. 編集者はあくまで黒子。コンテンツの価値は書き手にある

さいごに、社内のメンバーにも伝えたいことを書きます。それは「コンテンツの価値は書き手が生み出したものである」ということです。

先日、顧問編集者のWORDS代表・竹村さんのツイートがわかりみ深すぎたので、引用させていただきます。

Gaudiyのエンジニアメンバーは優しい人が多いので、なかには「編集してくれたから記事が伸びた」と思っている人も少なからずいる気がします。(推測なので思い違いだったらごめんなさい。笑)

でも、これは違います。コンテンツを生み出すのは書き手自身です。テックブログを書く前に、そもそもメンバーが日々考え、学び、新しいことに挑戦しているからこそ価値あるコンテンツが生まれる。書く時点でもう、コンテンツの潜在価値は決まっています。

編集者の役割は、100ある潜在価値を、きちんと100の価値として世の中に届けること

もし編集者が「よいコンテンツにしよう」と意気込んでいたら、それは少しはりきり過ぎかもしれません。笑 「本来の価値をしっかり伝えよう」それだけで十分です。

逆に「自分のブログなのに編集されるのなんかヤダな」と感じているエンジニアの方がいたら、ちょっと見方を変えてみてください。本当はもっと価値があるのに、それが世の中に伝わっていないのは、もったいないと思いませんか?

そういうお互いの理解が、よい記事を生み出すと思います。

6. おわりに

今回は「テックブログを編集する技術」をテーマにお届けしました。

完全にタイトル先行の思いつきで書き始めましたが、ふり返ってみて思ったのは、テックブログもそうではない記事も、編集者としてやっていることは大差ないということ。(エンジニアみたいに「技術」ってカッコよく言いたかっただけ。笑)

今回、大切なこととして3点挙げましたが、これらは通常のブログ編集でも同じです。

  1. 想定読者の目線を得るための前提知識をインプットすること
  2. 「わかりやすく・読みやすい」ための編集をすること
  3. 「コンテンツの価値は書き手にある」という意識を持つこと

編集に携わる人には「書き手へのリスペクト」を、執筆する人には「編集のもつ力」を感じていただけたらな、という想いを込めたので、それが伝わっていれば嬉しいです。

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Gaudiyではブログも採用も全員で取り組んでいます。もっと知りたくなったエンジニアの方は、ぜひCulture Deckもご覧ください!!

www.notion.so

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