こんにちは。エンタメ領域のDXを進めるブロックチェーンスタートアップ、Gaudiyでバックエンドを担当しているkei(@kei32bit)です。
エンジニア採用は、どの企業も苦戦しているのではないかと思います。Gaudiyでも今年の4月頃から本格的にエンジニアのスカウト運用を始め、エンジニアと人事が協力して改善を進めてきました。
最初は苦戦していましたが、徐々に「どのようなスカウト文を書けば返信が返ってきやすいか」「エンジニアと人事でどう連携すると良いのか」がわかってきて、一時は週平均で20%近くまで低迷していたスカウト返信率が、ここ数週間は35〜50%にまで向上しています。(もちろん波はありますが、9月は月平均でも41%でした。)
そこで今回は、「採用に関わっていきたいけど、どう関わればいいのかわからない…」「スカウトの返信率を高めたい」といった課題感をもつ方々のご参考になればと思い、Gaudiyではどのようにエンジニアがスカウト運用に関わっているのか、具体的にどのような工夫をしているかを詳しくご紹介してみます。ご参考になれば嬉しいです!
- 1. リファラル中心→スカウト強化へ
- 2. テンプレ感の強かった初期の試行錯誤
- 3. 改善の方針は、相手の価値観やWillに寄り添うこと
- 4. 実際にどう改善したのか
- 5. エンジニア全員に向けてノウハウを水平展開へ
- 6. さいごに
1. リファラル中心→スカウト強化へ
Gaudiyは2018年5月の創業で、つい1年前までは全社で10名ほどの組織規模でした。現在は、フルタイムで22名、副業・業務委託も含めると35名ほどになっています。そのうちエンジニア比率は50%ほどで、これはフルタイムも副業メンバーも同じです。
創業初期から組織規模が10名くらいになるまでは、ほぼ代表のリファラルで組織を拡大してきました。ですが昨年の夏頃から大きな案件が増えてきて、事業拡大のスピードに組織が追いついていかない状況になり、エンジニア採用が急務になっていました。
そんな中、今年の4月からエンジニアのスカウト運用(媒体はYOUTRUST)を本格的に始めることになり、私も候補者リストのアプローチ判断からスカウト文の作成までを担当することになりました。
Gaudiyでは全員で採用活動をするカルチャーがあるので、一緒に働きたいと思うエンジニアの方を見つけてスカウトを送る、という一連のフローに携わっています。
2. テンプレ感の強かった初期の試行錯誤
ただ、前職のメガベンチャーでは採用業務に関わった経験はなく、どのようなワークフローでスカウトを送っているのかもわからないような状態からのスタートでした。
YOUTRUSTの「キャリアSNS」という特性上、転職意欲が高くてプロフィールが充実している方もいれば、そうではない方もいらっしゃいます。そのため、YOUTRUSTのプロフィールだけでなく、Twitter、GitHubなども確認してはいましたが、はじめの頃は「つよそう」「よさそう」といったなんとなくの雰囲気でスカウト文を出す/出さないを判断してしまっていました。
改めて当時自分が送っていたスカウト文を見返すと、テンプレート感が全面に出ており、返信したくなるような文面ではないと感じます。
この頃は「しっかりめ / カジュアルめの文面パターンを試す」「Gaudiyのミッションから伝える」「スカウトを送る曜日・時間を変えてみる」といった試行錯誤はありましたが、どれもはっきりと効果がみえたものはありませんでした。
3. 改善の方針は、相手の価値観やWillに寄り添うこと
なぜ興味を持ってもらえないか。その原因は、以下の2つにあったかなと思います。
- 候補者の価値観やWill(これから何をやっていきたいか)を理解できておらず、寄り添えていない
- 候補者のWillに刺さるようなスカウト文に落とし込めていない
スカウトメッセージを受け取った方からすると、企業のビジョンやカルチャーと、自身の実現したい未来が重なることで初めて興味をもつはずです。少なくとも自分だったら、何ができるか(What)よりも、どう在りたいか(Will)に寄り添った文章の方が返信する気持ちになると思います。
そのための情報が把握できておらず、相手の心に刺さらない文章になってしまっていたことに課題があると考えました。
上記の仮説にもとづき、具体的にどのように改善したかを次からご紹介します。
4. 実際にどう改善したのか
まず前提の考え方として、Gaudiyが採用において最も重視していることはミッションやバリューへの共感です。そのため、Gaudiyのミッションやバリューに合いそうか / 興味をもっていただけそうか、に重心を置いてリサーチするようにしています。
もちろん技術力も大事ですが、技術スタックが多少合っていなかったとしても、Gaudiyの掲げているミッションとバリューに近い価値観を持っている方であれば入社後のキャッチアップで問題ないと考えているからです。そこで私が改善したのは以下の2点です。
4-1. 相手の価値観やWillを見つけ出せるリサーチ手法を確立する
候補者の方のアウトプット(ブログや取材記事など)をしっかり探すため、リサーチだけで1人につき大体10〜20分くらいかけるようにしました。 検索媒体についても、個人ブログ、Twitter、Github、Qiita、Zenn、YOUTRUST、Wantedly、 connpassのイベント参加履歴、所属してる企業の採用ポリシー etc...あらゆるものを活用しています。
というのも、媒体ごとに情報の特性が異なるので、いろんな角度から情報を拾ってくるイメージです。
たとえばGithubにDDDのサンプルコードがあったらドメイン駆動開発に興味がある方だとわかりますし、Qiitaにプロジェクトマネジメントの記事があったらエンジニアリングだけでなく、プロダクト開発手法にも興味がある方かもしれません。こうしたキーワードが見つかると、候補者の方が将来目指してるキャリアを仮説立てることができます。
またTwitterでは、つぶやきから興味関心がわかることがあるので「from:{アカウント名} おもしろそう」「from:{アカウント名} 書いた」といった検索をすることもあります。
一方で、中にはブログやSNSでのアウトプットがほとんどない方もいらっしゃいます。そういう場合には、所属企業の採用ポリシーや求人を参考にしていました。そこに所属している候補者の方も、おそらく近い人物像であることが伺えるからです。たとえば求める人物像に「エンジニアリングの枠だけに捉われず課題解決という目的を達成できる方」などがあれば、このような価値観を持っている方だと仮説づけることもできます。
こうしたリサーチを徹底することで、候補者の方のWillや価値観がわかり、スカウト文に入れたい情報を揃えることができるようになりました。
4-2. スカウト文では、WHY YOUとWHY MEをリンクさせる
次に、魅力に感じる部分を言語化した上で、どうスカウト文に落とし込むかも非常に重要です。実際に、リサーチを手厚くして魅力的に感じる部分を詳細に書けるようにはなったものの、スカウト返信率がなかなか改善しない時期がありました。
そこで人事の山本さんと作戦会議を行い、YOUTRUSTさんにいただいたアドバイスを参考にする形で、 WHY YOU(なぜあなたなのか)だけでなくWHY ME(なぜGaudiyなのか)に紐づけることを意識してみることにしました。
- WHY YOU・・・なぜあなたなのか?どのようなWillや価値観を魅力に感じているかを伝える。
- WHY ME(Gaudiy)・・・現状Gaudiyが抱えている課題を伝え、解決に向けて一緒に取り組んでいきたいことを伝える。
相手の魅力に加えてGaudiyの課題感を正直にお伝えすることで、「なぜあなたじゃないとダメなのか」という点において納得感を持たせることができます。
以下は実際に今の自分がスカウト文を出すとしたらこんな文章を書きます、という例になります。ここでは弊社のエンジニア宛にスカウト文を作成してみました。
スカウト文のドラフトを自分が作成し、人事の山本さんに表現の修正や読みやすく編集をしてもらった上で送付する、という役割分担もうまく回っていたと思います。
5. エンジニア全員に向けてノウハウを水平展開へ
こうして気をつけるべき点の言語化ができてきたので、現在はエンジニアが誰でも質の高いスカウトメッセージを送れるように、ノウハウの水平展開に注力しています。
主な取り組みとしては、以下2点です。
5-1. 過去に返信が来たスカウト文やリサーチ方法をデータベース化
Notionで過去に返信がきたスカウト文や、候補者のWillを探るためのリサーチ手法をまとめてNotionのナレッジデータベースに蓄積することで、他のエンジニアもスカウト文が書きやすい環境を整えています。
5-2. スカウト文の質担保のため、リサーチコメントをテンプレ化
リサーチ時にどんなWillに着目したのか、どういう観点でGaudiyの文化と相性がよいと思ったのかを言語化しておくことで、スカウト文が書きやすくなります。
人によって観点が抜け漏れないように、リサーチコメントのテンプレートを作成しました。
このような工夫を取り入れて、エンジニア全員が採用に参加する仕組みづくりを推進しています。
6. さいごに
今回はエンジニアのスカウト改善についてお伝えしました。なにかしらご参考になれば嬉しいです。
GaudiyではDAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)の思想のもと、プロダクト開発と同じように組織開発においても全員で向き合っています。
まだまだ理想には程遠く、日々みんなで改善している途上なので、もっと良い方法があったらぜひ知りたいですし、私たちとしても常に改善を続けて新しい学びをまたシェアできたらと思っています。
課題はたくさんあるけれど、全員でコトに向き合えるチームですので、少しでも興味持ってくださった方はぜひお話ししましょう!エンジニア採用の情報交換もぜひ。
毎週水曜に、オープン勉強会なども開催してますので、こちらもよろしければ!